久々の海外ダイビング、モルディブでもなければパラオでもありません。
アゼルバイジャンという国自体イメージしづらいかと思いますが、バクー油田でとれる石油など、豊富な天然資源を背景に第2のドバイとも呼ばれています。
今回はそんなアゼルバイジャンで個人的に念願だった「カスピ海」ダイビングしてみたのですが.....ワオでした(笑)。
カスピ海って海?それとも湖?
地理の教科書で1度は見るであろう「カスピ海」ですが、実際に行く機会はなかなかないのではないでしょうか。
或いは「カスピ海ヨーグルト」で馴染みがあるかもしれません。
まずはカスピ海が一体なにものなのか見ていきましょう。
世界最大の塩湖、沿岸国は5か国!
地理の教科書では「世界最大の塩湖」、すなわち湖とされています。
幅(横)は一番長いところで435㎞、長さ(縦)は一番長いところで1030㎞と恐るべき長さです。
435㎞というと東京から神戸、1030kmだと東京から北海道の道北地方にまで達するので如何に大きいかよく分かります。
カスピ海の沿岸国に北から時計回りでロシア、カザフスタン、トルクメニスタン、イラン、アゼルバイジャンがあります。
その内でカスピ海沿岸で最大都市となっているのがアゼルバイジャンの首都でもあるバクーです。
キャビアの宝庫
世界的に珍味として重宝されるキャビアですが、まさしくカスピ海が本場です。
キャビアを産んでいるチョウザメが豊富に生息しているからです。
また、キャビアのみならずチョウザメの肉もまた重宝されるのですが、実際に食べてみた感想は控えめに言って美味でした。
しかしながら水質の劣化などでチョウザメの漁獲状況は芳しくなく、現状はとても厳しいと言わざるを得ません。
豊富な天然資源
カスピ海では古くから石油開発が盛んに行われ、20世紀に入ったばかりの頃には世界的に石油開発の中心地になっていたほどでした。
その中心にあったのがバクー油田で、ソ連時代には一時期同国の7割にも上るシェアがありました。
特にバクーは豊富な天然ガスや石油などを背景に、20世紀初頭前後は「黒い金の首都」と呼ばれ、現在では「第2のドバイ」という異名で脚光を浴びるほどです。
なお、先ほどカスピ海は「地理の教科書上では世界最大の塩湖」と言及しましたが、天然資源開発などのルールを明確化するために沿岸国はカスピ海を条約上では「海」としています。
これは書きだすと大変長いので今回は割愛させていただきます。
カスピ海で潜ってみた!ダイビング事情は?(アゼルバイジャン)
前置きが長くなりましたが、カスピ海の基礎知識を押さえたところで早速ダイビング事情について探っていきましょう。
ちなみに今回はアゼルバイジャン側のダイビング事情になります。
今回のダイビングポイント:スネークアイランド
今回潜ったのはバクーから北に30㎞ほど移動したところにあるスネークアイランドというポイントです。
島とは言っても本土から深さ1mにも満たない浅瀬をつたって歩けるほどの近さの無人島で、ダイビングスタイルはビーチエントリーです。
遠浅なので深くても3~5m前後のエリアを中心に攻略することになります。
浅いからと侮ることなかれ、200年以上前の船のパーツや宝物の一部などが見つかることもある歴史好きにはたまらないところです。
また、名前の通りこの島にはヘビが多く生息しており、海況(?)が良ければ狩りに出ているヘビをダイビング中に観察できます。
好奇心も旺盛なのでダイビング中に何度か近付いてきてくれたりもしました。
他にもヨウジウオの仲間やハゼの仲間の魚など、島と本土に挟まれた浅瀬の藻場では大量のテナガエビなどが見られます。
海水魚だったはずの魚が多くみられるのもカスピ海ならではの魅力でしょうね。
なお、風が少しでも強めに吹くとこれでもかというほど荒れ狂うので要注意です。
ダイブセンター:BakuScuba
まさかアゼルバイジャンにPADIのダイブセンターがあるとは驚きでした。
今回お世話になったのは同国唯一のPADIのダイブセンターであるBakuScubaです。
このダイブセンターはカスピ海(ダイブポイントは主に3か所)はもちろんのこと、アゼルバイジャン国内のレイクダイビングにも通じています。
値は張りますが、レンタル機材やランチ代(オーナーが直々に作ってくれます)も入っており、英語がなかなか通じない同国で英語が通じることもあり、カスピ海デビューには大変心強かったです。
同国によく似た名前のダイブセンターがありますが、どうもグレーな運営をしているらしいのでやめておきましょう。
詳しくは下記リンクからどうぞ!
重要!ダイビング前の手続き
潜る前にダイビングセンターからパスポートのスキャン(顔写真、あればアゼルバイジャン入国時のスタンプの押されたページ)の送付をメールなどで依頼されます。
これは何故かというとアゼルバイジャンの法律でカスピ海で潜る時は事前に当局への届け出が必要なためです。
届け出の手続き自体はダイブセンターで行うので、こちらからはパスポートのスキャンをダイブセンターに送るのみで大丈夫です。
これを怠ると5万円以上の罰金が科されますが、どうもBakuScuba以外のダイブセンターはこれを怠っているようで......。
BakuScubaを強くおすすめしている理由にこのような手続きが適切に行われているという点もあります。
お国事情!入国から色々とざっくり!
最後にお国事情をサラッと紹介していきます!
入国事情
2023年8月現在、アゼルバイジャンへは空路でのみ入国が可能です。
日本国籍保持者であればヘイダル・アリエフ国際空港(バクー)とギャンジャ空港からの入国時に無料でアライバルビザを取得できます。
通貨はマナト
アゼルバイジャンではマナトという通貨が使用されています。
1マナトは日本円にして83.50円(2023年8月7日時点)です。
アゼルバイジャン国内で両替する場合、日本円を扱っていない場合が多いので米ドルか友好国トルコの通貨「リラ」を用意するのがおすすめです。
日本国内でマナトを扱っているところは......見たことがありません。
参考までにスイカは1㎏あたり~5マナト前後、空港バスは1.3マナト、メトロは0.7マナト前後です。
ビール2杯飲んでさらにケバブを1皿足しても6.6マナトなので如何に物価が安いかお分かりになると思います。
ただし、カフェで飲むコーヒーは概ね6マナト前後なのでそこは日本とあまり変わらないか若干高いくらいかもしれません。
治安
今回訪れたのはバクーとその近郊のみでしたが、1人で歩いている女性を多く見かける程度には治安が良かった印象です。
ただし、運転マナーがとにかく雑なので道路を渡るときは青信号であっても用心した方が良さそうです。
最後に感想!
これで本当に最後です。
初めてカスピ海で潜ってみた感想としては「面白いと同時になかなか海況?が読めない」という印象を受けました。
最初の1本目は予報が外れて風が吹いてたちまち荒れたかと思えば午後の2本目には落ち着いてウソのように波が落ち着き、翌朝6時の3本目はウソみたいにべた凪で透明度も良好と、とても同じ場所にいるとは思えませんでした。
生き物はいわゆる大物こそいませんでしたが、本来なら海にいるはずの魚がいたり、水中で狩りをする好奇心旺盛なヘビがいたりと大変ユニークなものが見られます。
まだ見れてない生き物も多いのでいつになるかは分かりませんが、次回も楽しみな、そんなカスピ海でした。
インスタグラムで「#カスピ海ダイビング」と検索すると他にも写真がありますので気が向いたら検索してみてください。